「安倍政権NO!☆0214大行進」出発集会スピーチ用メモ(代々木公園、2016年2月14日)

 今年ももうすぐ3月11日がやって来ます。東日本大震災福島第一原発事故が起きたあの頃、私は5年後の日本がこんな国になっているとは思ってもいませんでした。また5年後の私が、しかもこんなバレンタインの日に、こうやってマイクを握って愛を語るのでも犠牲者への祈りを捧げるのではもなく、時の政権への怒りを訴えているなんて、まったく想像もしていませんでした。


 5年前の3月、私たちはたしかに誓ったはずです。この震災の犠牲になった人たちを忘れない、被災した人たち、原発事故で避難している人たちの力になりたい、二度と原発事故を起こさないよう、日本中の原発をなるべく早くなくしたい、国際競争や経済成長ばかり追い求めず、ひとりひとりの命と心が大切にされる社会を作っていきたい、と。


 ところがこの5年間、とくに第二次安倍政権が誕生してからの日本はどうでしょう。
 被災地の復興も十分とはいえず、原発事故にいたってはいまだ収束のめども立っていなというのに、原発は次々に再稼働され、特定秘密保護法が制定され、かたよった経済対策で格差は拡大、貧困にあえぐ人、ブラック企業で過労うつに陥る人は増える一方です。また、沖縄では辺野古で工事への着工が強行され、この東京でも毎週のようにおぞましいヘイトスピーチが路上にあふれ返るようになりました。そして昨年、ついに憲法破壊による戦争法が成立させられ、いまメディアへの露骨な権力介入により、私は正しい情報を知ることさえできなくなりつつあります。


 私はこの5年間、本当はもっと静かに大震災の犠牲者のために祈っていたかったです。もっと何度も被災地に出かけて、精神科医としての経験を生かして、復興のお手伝いがしたかったです。みなさんも同じだと思います。でも、安倍政権があまりに愚かなことやおかしなことを行い続けるため、私には被災地のための時間が十分に与えられませんでした。


 私は、はっきりと気づきました。私たちがお互いのことを思いやりながら、希望を持って心静かに生きるためには、一度だけ勇気を出して立ち上がって、大きな声をあげ、激しく闘わなければならないのです。

 今や平和は、静かにつくり上げる時代ではなく、それを奪おうとする者から、断固として奪い返さなければならない時代になったのです。


 みなさん、この闘いが終われば、私たちはまた、本来のやさしい自分、おだやかな自分に戻ることができます。私も、もともとの“おしとやかな自分”に戻るつもりです。
 でもそれまでは、しばらくの間、私たちはやさしさ、おだやかさ、つつしみぶかさを封印し、強く大きな声をあげていきましょう。拳を振り上げて怒りをあらわしていきましょう。そして、本当の平和と自由と希望を、私たちの手へと取り戻していきましょう。

 未来の2月14日バレンタインデーには、私はきっと笑顔で愛を語り合い、静かに大震災の犠牲者に祈りを捧げているはずです。それを信じて、いまは心を高く高く揚げて力強く闘っていこうではありませんか。みなさんひとりひとりの力が本当に必要です。この闘いにいなくてよい人は、誰ひとりとしていないのです。これから行進に出発しますが、ひとりとして列からはずれることがないよう、お互い手を取り合い、励ましあって元気に進んで歩いていきましょう。
 これは、私の闘い、あなたの闘い、私たちの闘いなのです。